夜の昆虫採集【かんじ】

denjisou2005-08-29

個人のBlogでも紹介したのですが,長女の通う学童保育の夏のメインイベント,サマーキャンプで夜の昆虫採集を行いました.
今後の皆さんの活動に活かせるかもしれませんので,報告しておきます.

今回は,10数名の児童と保護者数名が参加してくれました.
午後3時のおやつタイム終了後にカブトムシとクワガタのお勉強と題し,昆虫採集に関する豆知識を解説.1〜2年生を含む小学生には単なるお話ではきつすぎると考え,参加者を4グループに分け,以下のようなクイズによるグループ対抗戦形式でレクチャーを行いました.

Q1:日本にいるクワガタムシの種数は?
1_5種,2_15種,3_25種,4_35種

Q2:次のうちドングリの仲間でない樹の葉っぱは?
(コナラ,サクラ,クヌギミズナラの葉っぱの絵が描かれている.)

Q3:夜行性昆虫が集まりやすい光の色は?
1_赤,2_ピンク,3_黄,4_白

Q4:今,日本で最も死亡事故の多い危険生物は?
1_スズメバチ,2_ヒグマ,3_ヤマカガシ,4_マムシ

Q5:夜の昆虫採集で捕まえられる昆虫の種数を予測してください.

「ファイナルアンサー?!」と私がみのもんたのもの真似で進行していくと,皆「ファイナルアンサー!!」と元気に答えてくれて,異常な盛り上がり.しかも,成績が一番良かったグループに賞品(私が前もって採集したカブトムシとクワガタムシ)を出すとしたから,みなとても真剣に答えを考えていました.

もちろん,各クイズは昆虫採集に必要な知識を持ってもらうための伏線です.

第1問を尋ねる前に,どんな名前のクワガタムシを知ってる?と聞けば,子供達からよくみられるクワガタムシの名前が次々と飛び出します.それを列記していけば,クワガタムシの名前をあまり知らない子にとって役立ちます.さらに第1問の答が35種ということを知れば日本にもまだ見たことがないクワガタムシがたくさんいることも分かり,晩の昆虫採集への期待が膨らみます.
第2問では,虫好きなら知っているカブトムシ&クワガタムシクヌギ,という方程式に,=ドングリの樹という新知識を付加します.これで,クヌギだけでなくコナラやミズナラなど,ドングリ類の多い森にカブトムシやクワガタムシが多いことを知ってもらいます.葉っぱの絵による視覚情報は森でクヌギやコナラを探すための助けにもなります.実物の葉を見て,さらに樹皮の様子がインプットされれば,次回からはカブトムシやクワガタムシのいそうな樹を自分で見つけることができるでしょう.
第3の質問では,森の中に入ることに抵抗がある人に,夜の昆虫採集の最も手軽な方法を教えるためのもの.最近の道路では昆虫を誘引しにくい赤色灯が多用されるので,昆虫採集をするなら白色光源の街灯の下を探せばよいことを教えます.
そして第4の質問は,舎のスタッフにはお分かりの様に,危険回避の知識をインプットするためのもの.グループ行動の重要性やスズメバチをいたずらに刺激しないことなどを覚えてもらいました.

クイズ方式レクチャーの後は,トラッップの作り方とセッテングです.餌はバナナ.表皮に黒い点があるような少し過熟のバナナの端を切り落とし,焼酎と一緒に袋に入れて室温に放置します.放置する時間は夏なら半日〜1日くらいで十分です.果肉が柔らかくなって,焼酎の薫りがするようになったバナナを2〜3本,皮を付けたまま女性用ストッキングに入れ,クヌギやコナラといったカブトムシやクワガタムシが来そうな樹に縛り付けます.果汁が樹皮に滴るようにバナナを樹の枝等でストッキングの上からよくつぶして下さい.これで準備OK.
今回は,もう一つ罠を仕掛けました.ペットボトルを高さ10cm程度のところで切り,その中に焼酎漬けのバナナを半本入れます.そのペットボトルを腐葉土が堆積した林床に穴を掘って埋め込みます.この時,餌に集まってきた昆虫が落ちやすい様に,ペットボトルの切り口が地面と同じ高さになるようにするのがコツです.この落とし穴のような罠は,ベイトトラップと呼ばれています.

さて結果ですが,実は,夜の昆虫採集ではカブトムシもクワガタムシも捕獲できませんでした.やはりカブトムシやクワガタムシの採集としては時期がやや遅いのでしょう.
しかし,夕方,皆でバナナトラップを仕掛けに行った際に,私が前もって仕掛けていたバナナトラップにカブトムシが来ていました.「はじめてカブトムシが樹の上にいるところをみた〜!」と感動する子も.
夜の昆虫採集での盛り上がりのピークは,ベイトトラップで捕獲したセンチコガネやオサムシの仲間を見たとき.センチコガネは動物の糞や動物の死骸を食べて生きている,フンコロガシに似た森の掃除屋さんですと説明すると,付き添いの父母から「そんな虫がこの森にいたんですね〜」との声.
翌朝にも子供達は保育所の先生とトラップを見廻り,その時は街灯付近で転がっていたノコギリクワガタを見つけました.「やっぱり街灯の下にも来るんやね〜」と子供達が納得していたとのことです.

小学生低学年中心のグループなので,途中,私ひとりで統制できない場面もありましたが,そこは,保育所の先生やその場にいた父母に助けてもらいました.小学生相手のイベントでは規模に合わせてサポーターを付けることは必修ですね.

なによりも私が一番嬉しかったのは,ある虫好きの女の子から「こんなに楽しい体験ができたから,キャンプに来て良かった!」と言ってもらえたことです.自分が子供時代に体験したかったことを実践したまでのことですが,子供の素直な感謝の気持ちを聞けて,準備にかかった苦労も報われました.

キャンプと言っても,いつも子供達が通っている小学校に隣接する学童保育所を使ってのイベントです.昆虫採集をした森も半分竹薮化した神社の雑木林で,周辺は普通の住宅地です.それでもこのように,スタッフが数名いればいつでも楽しめる夏のイベントなので,皆さんもどこかで試してみてはいかがでしょうか.

追伸:今回,生まれて初めてファシリテーショングラフィックをやってみました.カラーマーカーを使ったファシグラは参加した父母からも好評でした.環境創造舎に居てよかったな〜とつくづく思いました.しゃちょう,感謝です!