カエルの棲家【かんじ】

denjisou2005-08-13

星野の棚田でのカエル調査で分かってきたことがあります。
星野の棚田では5種類のカエルを観察しました。ニホンアマガエル、ヌマガエル、ツチガエル、トノサマガエル、シュレーゲルアオガエル
これら5種のカエルは、一見、棚田の中で共存しているようですが、よく観察してみると、種類ごとに生活している場所が違っています。
田んぼの水の中でよく見かけるのはヌマガエルとトノサマガエル。しかもヌマガエルは棚田の下の方の田に多く、トノサマガエルは上の方の田で多く見かけます。
棚田の横を流れる小さな川の岩や砂利の上にはツチガエルがたくさんいます。

その川を挟んで田んぼと反対側にある杉林や雑木林の木や草の葉の上ではシュレーゲルアオガエルをよく見かけます。

そしてニホンアマガエルは、同じ植物の葉の上でも、田の稲の葉や川沿いの植物の葉の上でよく見られます。

これはカエルの種類によって好む餌の種類や産卵する場所など生態が異なるからだと思われます。図鑑などにはそれぞれの種の生態が簡単に解説されていますが、こうして実際に種類ごとの棲み分けを目の当たりにすると、多様な生物を育む棚田の水辺環境の多様性を実感できます。
田んぼ、畦、渓流(水路)、森。
これらの環境をセットで持つ棚田の生き物の棲家としての奥深さを改めて感じることができました。