月曜蛙劇場


夜には夜を楽しめと言わんばかりの大声で鳴き、
昼は畦にきょとんと腰かけ、僕らの足音を聞くと、はっとしたようにぴょんっと水の中に入っていきます。


前足を丁寧について、恭しくしている蛙(かわず)。
彼らはいったい何を想っているのでしょう。


世の歌人たちはそんな蛙に惹かれていました。


 古池や 蛙とびこむ水の音 (芭蕉
 手をついて 歌申し上ぐる蛙かな (古句)
 花散るや 蛙の声の香にほふ
 客去って 何の蛙のかしこまる
 古井戸の星かき乱す蛙かな
 余は空と悟りし貌や 浮く蛙 (露石)
 大空へ何か言ひ出す蛙かな
 蛙の目越えて 漣 又さざなみ (川端茅舎)
 

あるときは、散る桜にかわり。
あるときは、客人を見送り。
あるときは、大空に呟き。
またあるときは、天の星月までも眺める蛙。
不思議な魅力を秘めています。


この季節、池には卵やおたまじゃくしがたくさんいます。
騒がしい季節が待ち遠しいです。


蛙と蚯蚓(みみず)のこんな歌もありました。


力なき蝦 力なき蝦 骨なき蚯蚓 骨なき蚯蚓 (催馬楽


蛙とみみずが、田んぼの畦で互いに悪口を言い合ってるみたいな歌です。
かわいい喧嘩です。

*** 明日は『火曜虫劇場』です。お楽しみに! ***
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【たにのき】

参考:「圭虫句集」、「折々のうた」[大岡信著]