金曜もの劇場


実家に帰ってきました。


桜が咲いています。
山は桜色のパッチ。
里はまだまだ、桜色の斑点。
いよいよ春なんですね。


そんな実家に帰ってくると、田舎道が整備されていました。
とても広く、滑らかな路面です。
そこはかつての通学路。
小学校、中学校、高校とその道、その坂道を通いました。


その坂道の思い出は数知れず、いつもその道を通ると帰ってきたことを実感していたのでした。
そんな坂道には、外灯が一つありました。
お墓も近く、暗くて、見通しが効かない坂道に外灯が一つ。
その外灯の下にはカーブミラーが一つ。
万全かのような夜道。
ただ、その外灯はときどき消えるのです。
いきなり。
パッ、パパパ。と。
明かりが消えるたびに、闇に包まれ、灯るたびに、ミラーに何か映っていたらどうしようとびくびくしていました。
いっそのこと、こんな外灯はないほうがいい!


そんなこともありました。
でも、ほんとうになくなってしまうとは…。


『もの』はやはり、なくなったときにその思い出に気づくのでしょうね。


明日は『土曜町劇場』です。お楽しみに!
【たにのき】