火曜虫劇場


高2の冬。
今朝のようなやさしい風が吹いていたころ。
僕は金柑の樹でアゲハチョウの蛹を見つけました。


冬の蛹を見たのは初めてで、春になればこれから蝶が出てくるのだと心躍らせて家に持ち帰ったことを覚えています。


ところが、桜も咲いて春の蝶たちが飛び交っているころになっても一向に羽化する気配がありません。
持ってみると中身はいつの間にやら空っぽでした。
殻は破れてないのにいつの間にか中は空っぽ。
不思議でした。
よくよく殻を見てみると小さな穴が開いていました。
このとき初めて蝶に寄生する蜂がいることを知りました。
幼虫のときに蜂が卵を産み付けて、蛹を栄養にして春に飛び立つ蜂たち。


この後もナミアゲハの蛹を見つけ出してほっといておくと、いつの間にやらぽっかり穴が開いて、蛹と同じくらいの大きさの蜂が飛び回っていました。
幼虫から育てたときも同じようなことがしばしばありました。
卵から育てたときはしっかり蝶が出てきました。


せっかく育てたいもむしが蝶にならずに蜂になって出てくると、かなり悔しい。
でも、蝶の蛹から蜂が出てきた時のの驚きは今でも心に残っています。


生き物の世界って不思議がいっぱいですね。
こんなやわらかな春の香りのする風が吹くと、今日もまたどこかの金柑の樹で蝶の蛹から蜂が出てくるかもしれません。


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明日は『水曜鳥獣劇場』です。お楽しみに!
【たにのき】